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Ad augusta per angusta

東京都知事選挙 各候補のテレビメディア露出時間と得票数の比率について 

 

2016年7月31日投開票が実施された東京都知事選について。

 

テレビメディアの偏向報道への疑問が投げかけられた今回の都知事選。

 

私は選挙後、門外漢ながら、マスコミのしたあまりに不公平かつ独善的な行為に対して感じた違和感の実態を検証する為に、いくつかの計算をした。

 

そして、主要三候補と186倍の報道格差があったということを裏付けるデータ(根拠は文中に明示)から、メディア露出時間あたりの得票率を算出したところ、非常に興味深い結果が得られたため、公表する。

 

念のため、テレビメディアでの露出時間に対する得票数(票数/露出時間)の計算式を示す。また、以下、テレビ露出時間対獲得票の指数を「潜在得票指数」と名付ける。

 

この指数は、このたびの選挙において、テレビ報道が各候補を公平に取り上げていた場合の推定獲得票数を算出する為の指数である。(タレント議員の当選率の高さから周知のように、テレビでの露出具合が選挙結果に対して甚大な影響力を持つことを、念のため明記しておく。)

 

幸福実現党発表のデータ(図1)に基づけば

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【民放の場合】
主要三候補の97%÷3=一人当たり32%の報道時間
18候補は3÷18=一人当たり0.16%の報道時間
32:0.16→200倍の報道格差
 
(フジテレビ/ユアタイム)
主要三候補の98%÷3=一人当たり32.6%の報道時間
18候補は2÷18=一人当たり0.1%の報道時間
32.1:0.1→326倍の報道格差
 

NHKの場合】

 (ニュースウォッチ9)

主要三候補の54%÷3=一人当たり18%

18候補の46%÷18=一人当たり2.5%
18:2.5→7.2倍の報道格差
 
つまり、5つの番組の報道格差を平均に直せば186.6倍もの報道格差があったと言うことができる。
 
 
18候補者への報道量が主要三候補のそれと同じだったら、つまり、今回の186倍の不平等が存在しなかった場合の得票率を算出するため、主要三候補への獲得票数を報道格差の186で割り、その数値を露出対得票指数とする。露出時間あたりの獲得票数である。
 

【各候補の露出対得票数=潜在得票指数】

小池291万票/186=1.5万

増田179万票/186=0.9万

鳥越134万票/186=0.7万

 

上杉17.9万票/1=17.9万

桜井11.1万票/1=11.1万

マック5.1万票/1=5.1万

七海2.8万票/1=2.8万

立花2.7万票/1=2.7万

中川1.6万票/1=1.6万

山口1.5万票/1=1.5万

 

こうして列挙すると、露出時間:獲得票数の割合でいけば、中川候補や山口候補の1.6万、1.5万さえ、主要三候補をほぼ上回っていることが明らかであり、また、上杉氏の潜在得票指数が断トツで一位だったことが明らかである。

 

もしも「ビール箱に乗った候補がいる」「東京への恩返し」「オリンピック費約1兆円削減」などが報じられていたら、話題にならないはずがなかった。

 

上杉氏のマニフェストは主要三候補へと吸い上げられ、選挙戦自体を大きく変容させたものであったことは周知のことである。ネット上ではマニフェストが強過ぎるから封殺されたのではないかという声も散見されていたが、おそらく上杉氏の場合は、そうした理由だけではない。幼少期からのパーソナルストーリーも、選挙手段の話題性も、潜在的な好感度も、全てがあまりにも強すぎたため、少しでも報じてしまうと一挙にバズる可能性を秘めており、徹底して無視を決め込む他に方策が存在しなかったのだろう。

 

たとえば、ツイッターのフォロワー数を報じる番組であるにも関わらず、候補者全体で圧倒的フォロワー数(32万)を誇る上杉氏のことを不自然に報じなかった放送がいくつも存在したことからも、メディア各局が上杉氏の存在を押し込めるのに、必死だったことはあきらかである。

 

潜在得票指数だけで見れば、少なく見積もっても、11,9倍以上の露出格差をつけなければ、圧勝した小池氏でさえ上杉氏には太刀打ちできなかった。そういうところを計算された上で、絶対に負けないだろうラインを試算し、NHKでの7分の1程度(対主要三候補)の露出尺が決められた可能性があっても不思議ではない。

 

もちろん、実際には各候補ごとに支持組織や組織票があったりと、この指数ではカウントできない要素は多分に含まれている。そうしたことを差し引いても、この数値は非常に興味深いものがある。私の個人的な感覚からすれば、各候補者の演説を聞いた時の好感度や求心力の印象としては、この数字のほうが、ずっと肌感覚に近く、腑に落ちるものかまある。

 

既得権益層の立場から読み解けば、もしも平等な報道をされていた場合、「官房機密費問題」を追及しマスコミと政治の共生関係を切り離してしまうであろうあの「上杉隆」が、「オリンピック組織委員会」の見直しを掲げているだけでなく、具体的な是正策や都庁のブレーン達とのパイプまで持っているときたわけである。これでは、オリンピック利権で水増しした金を湯水のように受け取っている者達にはひとたまりもない。

 

更に言えば、マスメディアの最大のスポンサー企業のひとつである電力業界の暗部(一例に著作を紹介)を暴いてしまったのもこの男である。マスコミ上部にとっても一部の政治家等にとっても、今ある安寧と繁栄を脅かす上杉隆という男はあまりにも「不都合な存在」なのである。

 

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もっと読みたい方はこのアカウントからどうぞ。

 

そして、仮に上杉を退けることができたとしても、次点に控えるのはネットで凄まじい盛り上がりをみせていた、ヘイトスピーチを是とする元在特会代表の桜井氏なのである。

 

両者とも、既得権益を享受しているメディアと政治の奥の院の御仁たちの操り人形として動かすことの叶う駒となりえないことは明らかである。上杉氏は多様性の必要性を掲げ、桜井氏はヘイトを掲げており、真逆の主張をした両者であるが、この二人に共通することが一点だけ存在する。それは、飼いならすことが困難に違いない点である。潜在得票指数の高い彼らを当選させないためにできることは、ただひとつ。「報じないこと」に尽きると言っていいであろう。今回の選挙における不自然な程の横並び報道の内側にはこうした事情があり、それ故の苦肉の策だったのではないだろうか。

 

上杉氏の650万の投票数に対して約18万人という得票数は、投票者の36人に1人には上杉氏の声が届いていたということを示している。40人学級ならクラスに1人強が上杉氏に共鳴したのである。

 

TV(5社5番組)での186倍の報道格差がありながら、一位の小池氏の291万と上杉氏の獲得票数の差はわずか16倍である。(小池氏が16倍、増田氏は10倍、鳥越氏とは7.5倍の差)

 

終盤NHKで報じられていた中川氏や山口氏の得票が共に1万6〜7000ほどであることから、後半のNHKによる報道効果によって獲得票数が大きく変動した可能性は考えられにくい。

186倍の報道格差の中、終盤の数日になって主要六候補とされた中川氏と山口氏は主要三候補の獲得総数の一人当たりの平均に対して125倍の差をつけられている中、同じく主要六候補とされた上杉氏の主要三候補平均獲得票数との差はわずか11.1倍なのである。

 

 

官報複合体が186分の1の報道体制を敷いて必死に潰しにかかったというのに、上杉氏を支持する方が36人に1人以上現れてしまったのである。これほどの報道統制を敷きながら、1/36に上杉隆ミーム(思想の種)が根付いてしまった。上杉隆の存在を報じられては不都合な者達からすれば、これほど恐ろしいことはないだろう。

 

つまり、この度の都知事選によって、テレビメディアのスピンコントロールで洗脳しきれなかった都民の存在が、36人に1人、確認されてしまったのだ。しかも、これは上杉氏の出馬をほとんど報じられていない中での数字であり、この数字に秘められた力が未知数であることはいうまでもないことである。186秒の報道に対して1秒しか報じられなかったということは、9分報じられる小池氏に対してわずか3秒の情報提供量なのである。

 

そして、17.9万人という数字。それは、今回投票した人が一日1人に上杉隆の存在を知らせることができれば、2ヶ月で1100万人にその存在を周知できてしまう値でもあるのだ。

 

これまでは上杉氏に対するマスメディアからの言論封殺があまりにも強大に感ぜられて、地団駄を踏んでいたが、今回投票した人が一人あたりたった60回上杉氏のことを話題にできれば(支持されるかどうかはさておき)、上杉氏の出馬を知らせることができてしまったということである。

 

そう考えると、意外とメディアの壁は脆いもののように思えてしまう。実力一本で言ってもあの完璧なマニフェストである。知らせさえすれば、意外とすんなりと伝わっていくのだ。彼の訴えたことを実現させたい人たちは、選挙が終わったからといって周知の活動まで終えてしまうことは無いのだ。やりたいだけ、彼のことを、何気なく、それぞれのペースで周知しておけばよいのだ。

 

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四年後、たとえマスメディアが強固なメディアからの締め出しをしたところで、知られてしまえばどうしようもないのである。

 

上杉氏に斬り込み役を任せきるのではなく、それぞれにこの選挙での不平等(不平等というよりも言論封殺といって過言でないほどの徹底した偏向報道)に対して、ひとりひとりが声をあげはじめていることに、私は大きな可能性を感じている。損得抜きに、上杉氏を独り戦わせはしまいとした人が、これほど存在しているのだ。これを力と呼ばずに、希望と呼ばずに、なんと言おう。

 

また、上杉氏の支持者の多くが是々非々の立場にありながら彼を支持していたということもまた、非常に嬉しいことであった。それは、他ならぬ彼自身が、異なる思想をもつ人間同士が十人十色であり続けながら共に生きていくことの重要性を掲げ、戦ってきた人物だからである。

 

当選ではなくとも、今回の選挙で上杉氏は、memeという弾圧できない思想の剣を民の手にもたらし、勝利したといっていいだろう。

 

革命の本体は文学だという言葉があるように、識字率1割以下の時代のロシアでドストエフスキーが文学(思想)を綴り、7冊しか刷られなかったツァラトゥストラが世界中で翻訳され、人類の精神を拡張させていることから鑑みるに、1/36の浸透率を誇るウエモンmemeの伝搬力たるや、末恐ろしい話である。

 

穏やかに映ろうと、思想の伝搬こそが革命の本質であり、思想の勝利こそが革命の正体なのだ。

 

最も偉大な闘い方とは、memeを残す闘いです。memeは、個体が絶えてなお受け継がれ、その思想の遺伝子はいずれ数を増やし、歴史を前進させる力となるのである

 

 

掛け値なしに、ここからの上杉氏の猛反撃が楽しみでならないのである。

 

 

 

 

せっかくなので、上杉氏の政策集とHPを最後に紹介する。当選された小池氏には、是非これらの政策を実行していただきたいものである。

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 http://uesugitakashi.com/

 

 

 

 

 

 

 

 

 

上杉隆さんの首相官邸前抗議について

0722再稼働反対!首相官邸前抗議 に19:30から急遽参加することになった上杉隆さんについて

 

 

彼は2011年の東日本大震災メルトダウン(炉心熔融)の可能性を指摘するツイートをしたことがきっかけで、デマ杉、ウソ杉という中傷を受けましたが、2016年2月の新潟県の調査委員会による調査の結果、メルトダウンと判断するマニュアルが存在したことが判明し、名誉回復をしています。

 

 

上杉氏が震災直後、明らかにした原発について言及している著作『この国の「問題点」〜続・上杉隆の40字で答えなさい〜』(大和書房)から、氏が追求した原発問題への知見を引用します。

 

 

「この事故が後手に回った大きな原因のひとつは東電の隠ぺい体質にあります。その体質は今に始まったことではなく、過去何度もトラブルを隠してきた常習犯でもありました。記憶に新しいところでは、2002年8月の原発トラブル隠しがあります。
東電が運転する福島と新潟の原発のうち13基で、機器の点検で発見されたひび割れなどがごまかされて報告されていた、という事案です。その際、東電とともに『安全性に問題はない』と発表し、世間の非難を浴びたのが原子力安全・保安院です。

原発行政の規制を担当する通産省(現・経済産業省)の外郭団体である資源エネルギー庁の管轄下に位置づけられていました。そう、今回の事件でもテレビでよく見かけるジャンパーを着た、彼らの団体です。
残念なことに東電保安院の癒着は以前からずっと指摘されていたのです。(中略)日本の原子力行政は2001年の省庁再編によって、経産省のもとに商業用の原発、再処理工場など原子力施設と許認可の権限が集中することになりました。
一方、原発の安全規制を行うのは経済産業省の内部にある保安院です。実は内閣府にも原子力行政を規制する原子力安全委員会という組織があります。これは、保安院以外にも原子力行政をチェックするために設けられた組織なのですが、実質的な活動はほとんど行われていませんでした。
東電のトラブル隠しがなされた背景には、このような身内に甘いお手盛体質が原因とも言えます。
役所には、一度許可を出したものには間違いが存在せず、変更もしない、という不文律があります。そのため、後に点検によって施設に問題が発覚しても傍観を決め込む。

互いのこうした馴れ合い体質が、東電のトラブル隠しの温床となっていたのです。

内部告発者を守れない日本

2002年の原発トラブル隠し事件は、自主点検をしていたGEの子会社の元社員から、通産省へ送られた一通の内部告発の手紙によって真相が明らかになりました。
ところが、内部告発が行われたのは2000年。なんと事件の全貌が明らかになったのは2年後です。ここまで時間がかかったのは、ひとえに保安院が責任回避をして、問題の当事者で東電にすべての調査を任せていたから、ともいわれています。
さらに驚くべきことに保安院は、問題を告発した当人の氏名や会社での評価などの資料を東電側にすべて渡してもいるのです。つまり内部告発者の保護は行われないどころか、密告者として扱われてしまったのです。民主主義国家での出来事とはとても思えません。
このように、国、電力会社、原子炉メーカー、地方自治体といった巨大な利権が動く原発の実態はなかなか表に出にくい事情があります。残念ながら、それをチェックするマスコミはまったく機能していません。
そのため内部告発者という個人が、原発の安全を監視する最後の砦になるのですが、その制度もこの始末。もはや絶望的ですらあります。

それでは海外はどうでしょうか。たとえば、アメリカにおける原発規制の官庁は、日本のよに原発の利用促進をするエネルギー省とは別の独立行政機関であるNRC(原子力規制委員会)によって行われています。
NRCには内部告発者保護プログラムがあり、それにより年間数千件の内部告発が行われています。もちろん、内部告発者の氏名や住所などの個人情報は電力会社や原子炉メーカーに知らされることなく、確実に保護されるのです。
ただしそれでも、内部告発をNRCがすべて取り上げるというわけではありません。その場合、内部告発者が最後に頼るのがジャーナリスト、というわけです。
一方、フランスの規制当局はASN(原子力安全機関)。こちらも独立行政機関で、IRSNという独立行政機関の技術協力のもと、原子力放射線リスクの評価を行っており、今回の日本の原発事故についても積極的に情報公開を行っています。

原発の安全監視の最後の砦となるジャーナリズム。日本の場合、実に心もとないのが現状です。記者クラブメディアの最大級のスポンサーが電気事業連合会だからです。「有力企業の広告宣伝費」(日経広告研究所/2009年度)によると、東電の年間広告宣伝費は約244億円。
電事連の会員10社で約869億円にも上ります。ちなみに国内トップクラスの年間広告宣伝費を使っているのは、1位パナソニック(約771億円)、3位トヨタ(約500億円)。これらの企業に負けず劣らずの広告宣伝費を投じているのが電事連なのです。
電力事業はそれぞれの地域で発電、送電、配電を独占しており、広告宣伝費を費やす必要がありません。にもかかわらず、巨額の広告宣伝費を投じている理由は、いざというときに口封じをするため、いわば"ワイロ"のようなものです。
まさに、今回の原発事故では、以前から記者クラブメディアに渡していた巨額のワイロが効いたとも言えるでしょう。
電事連から広告宣伝費をもらっていないNHK以外のテレビ局は、頼んでもいないのに、東電をかばい続けました。
"ワイロ"だけではありません。"天下り"もあります。実は、フジテレビの監査役には、先に記した2002年の原発トラブル隠し事件で引責辞任をした元社長、南直哉氏が就任しています。
経産省への天下りが注目を集めていますが、本当に問題なのは、マスコミとのこうした癒着です。報道機関が利益相反の疑われるような関係を自ら作っているようでは、原発の厳しい安全監視を行うのは難しいでしょう」

 

 

これが、上杉氏の明らかにした、東日本大震災の内幕です。

 

 

上杉氏が現在、都知事選に立候補し、どの調査によっても4位に食い込んでいるのに関わらず.公開討論会や民放各局に呼ばれず、公平な周知をされていないことは都民から、選択肢を奪う行為であると思っています。

 

民放各社の公共の電波の独占を看過してはいけません。これは、上杉氏個人の問題ではなく、日本のジャーナリズム、報道の自由度の問題なのです。「21人いる候補者を公平に周知しない権利」を見逃してしまってはいけません。私たちは今、歴史の分岐点で試されているのです。

 

なんとかしなくてはいけないと思うので、上杉さんが取り上げられなかった番組名を、私のツイッターアカウント @obkans まで教えていただけないでしょうか。

 

一覧を作り、正当な要求であるということの問い合わせができるように情報を整理したいとおもっています。みなさん、お力添えのほど、よろしくお願いいたします。

 

 

また、まとめなどで、上杉さんへの言論封殺についてまとめていただけると幸いです。力を合わせて、上杉さんを都知事選にしましょう。

 

 上杉さんのデマ疑惑について、まとめられたHPはこちらです。

 

http://iwaukai.com

 

 

2016年5月19日に催された「上杉隆君の名誉回復を祝う会」では元NHK欧州総局長の大貫康雄氏が、上杉さんの当時の行動について、スピーチしています。


「自由報道協会の大貫です。アメリカ(特派員)時代にも、ヨーロッパ(特派員)時代にも同じようなことを言われていたので、鮮明に覚えています。
『日本の常識は世界の非常識だ』と(言われていました)。(それは)なぜか? 
『日本のメディアは弱い人を叩いて強い人を擁護する。メディアの役割を完全に放棄している』というのです。

 一般に、人には色んなしがらみがあり、言えないこともあるでしょう。 ジャーナリストの在りようというのは、そうした一般の人たちに代わって、自分がこれは社会に、人々に、知ってもらうべきだと納得したものを言う。 それがジャーナリストとメディアの役目だと思うのです。
 もっと率直に言うと、その役割を失ったら、日本社会において、メディアの存在意義はない。
社会に向かって、きちんと言うべきことを言う、ジャーナリストがそれを放棄したら存在価値はない、ということです。

 東京電力福島第一原子力発電所の爆発事故の後、上杉さんがメルトダウンをいち早く言い出したこと、これは素直に言えば、スクープです。日本国内、大スクープです。

 先ほど菅元総理がメルトダウンについて挨拶で言っていましたけど、ヨーロッパのメディアは直後にメルトダウンと言いだしたんです。 少なくとも上杉さんは、ヨーロッパのメディアのようにきちんと情報収集をして、東電に行き問いただしました。 ところが他の多くのメディアの報道は、上杉さんがきちんと取材した、そういうところは完全に掻き消されていました。

 上杉さんのような(報道)姿勢はヨーロッパでは当たり前なんです。取材し確認するのにいろんな方法があり、東電に聞かなくても(調べれば)メルトダウンしていることがわかります。 メルトダウンをすればどういう放射性物質がどのくらい出るかは、世界の研究機関が調べています。
 たとえば、CTBTという包括的核実験禁止条約があります。 その条約に関しオーストリア・ウィーンに気象地球力学中央研究所機関は、世界60カ国以上で放射能の検出を常時行っています。
アメリカ軍も北朝鮮の核の汚染をチェックしています。情報はすぐに確認できます。取材は、いくらでもできます。
日本の大手メディアは、そういう肝心なところを(取材)しないで、逆に、当たり前のことを言った人(上杉)などを、デマ野郎、などと叩くわけです。
スクープをした記者が、称賛されるのではなく逆に攻撃される、名誉棄損の極まることです。
こんな国が世界に他にありますか。

 その中で、上杉さんたちが立ち上げた自由報道協会は公益社団法人に認可される前でしたが、間接的ながら大変な余波を受けました。 それでも、めげずに頑張ってきました。上杉さんは個人的にも実際、相当のお金を自由報道協会のために出しております。
 これ程の逆境に耐え抜き、初心を貫くひとは、非常にまれです。私は、この日本では、「絶滅危惧種」だと思っております。 日本にはいないかと思っていましたが、ここにいます。日本のメディア界にとって、貴重な存在であると思っております。これからもよろしくお願いします 」

 

 

 

花筏 

 

上杉隆君の名誉回復を祝う会にて 上杉隆氏のスピーチ内容

2016年5月19日憲政記念館にて、上杉隆君の名誉回復を祝う会が催行され、そこで上杉氏が述べたスピーチ内容を文字起こしした。

 

 

 

 

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上杉隆「皆さん本当に、今日は木曜日の真っ昼間という最も集まりにくい時間帯にこの国会の方面まで足を伸ばしてくださり、ありがとうございます。

 

北海道、京都もそうですし、また、九州からも、そして福島からも沢山の方がこうやって……集まっていただいて、本当に、ありがとうございます(会場拍手が沸き起こる)。

 

あの、かなり、皆さんに、ご迷惑をおかけしました。先ほど何度も、挨拶してもらったように、田村淳さんも古賀さんもそうですが、他の方、発起人八十八名の方…もうちょっと増えてますが、今は。皆さん、私と付き合うな、あいつと付き合うとろくなことが無い、ということで、一人二人ではなくて何十人、多分何百人くらい、この五年間言われ続けたと思うんですが、私もそんな風に言われ続けながら、ひとの話を聞いていて、反省をしているのと共に、そんな中、こうやって五年間、私のことを信じているわけではないと思うのですが、少なくとも、全否定、ということをしないで、話をこうして聴いてもらえるというだけで、本当に感謝です。今日は、ありがとうございました。(会場拍手が沸き起こる)

 

人生の本舞台は常に将来にあり、ですね。今日、ここで、憲政記念館という場所を選んでどうしてもやりたいということで、(祝う会実行委員会にリクエストをして)ここでやらせていただいています。元々国会の建物の一部なんで、先ほど国会議員の方々も沢山いらっしゃっていますが、基本的にはあまり使えないところなんですね。国会議員の方々は、もう今、まさに、憲政の神様である尾崎行雄さん、銅像も建っていますが、その、国会の、本会議に、一時から皆さん戻っているので、ざっと引いているということなのですが。

 

その、人生の本舞台は常に将来にあり、という言葉についてですが、やはり、逆風とか、雨が厳しく降っている時ほどこの言葉が身に染みることはない、と。尾崎行雄さんは戦前、三国同盟に反対、あるいは不戦と普選、つまり普通選挙の導入と、戦わない不戦、この二つを掲げて当時逮捕され、最も最初に逮捕された新聞記者・国会議員ということで、戦時中は(塀の)中に入っていたということで、命を永らえた。それで、戦後は一貫して独裁に対して戦うという姿勢をしていた、尾崎行雄さんの、憲政記念館、です。

 

私自身もずっと、15年前にNYタイムズを辞めてから気にかけてきたことは、政治の分野とは違いますが、そういう意味での、自由な言論ということを考えてきました。そこで考えたのが、お手元にあります冊子に引用された『ジャーナリズムの5大原則』というものですが、とにかく、自由な言論というのが、いろいろ問題はあってもアメリカのジャーナリズムの中では担保されているんですね。『ひとと意見が違うのは当たり前だ、というのを前提に様々な言論が世界に広がっていく、と。これが健全な言論空間でありメディアであり、その先にある多様性の、先にあるのが、まさに、民主主義である、と。それがフェアな民主主義国家であり、社会であると。』そうしたことを徹底して学び、NYタイムズを辞めた後は、ジャーナリストとして、それを実践してきました。

 

ただ、『そのときに教わったもの、ジャーナリズムから教わったものは、どういう風にお返しすればいいのか。NYタイムズにお返しすればいいのか』と、この発起人にもなっている、当時の上司のハワードフレンチ東京支局長などに聴いて。ちなみに、ハワードさんはそのあとコロンビアのジャーナリズムスクールの教授になっています。で、聴いたら、『ジャーナリズムで得たのなら、それをジャーナリズムにお返ししなさい』というふうに言われました。そこで、色々と貯めた小金とかですね、大金とか、大金はなかったんですけどね、それを、どうやってこの日本の社会に返そうかということを考えて、(ここには)メディアの方もいらっしゃいますが、記者クラブ開放、やはりこの、フェアな言論空間のためには、それが第一歩だろう、と。

 

そのために、自由報道協会、先ほど大貫代表からもお話しいただきましたが、そこに、小額ではなくかなり厳しい金額も、数千万ですが、投入したり、あるいはオプエド。これはオポジットエディトリアルといって、反対意見、社説とかの、色々な、多様な意見を作るためのシステムですが、日本の新聞テレビ以外、アルジャジーラなどもやっています。これを、日本社会に広めようと思って、番組名にオプエドという名前をつけて、二年前から、今ここにいるスタッフたちも含めて、はじめました。

 

それは、ジャーナリストの期間、ずーっとやってきて、思ったのは、私自身、心がけたのは、違う意見、多様な意見、右も左も関係ないのだと、上も下も関係ないのだと。その意見が大事だというので、ひとさまの言うことに対して、批判はするけどそのひとの言論を封殺するようなことは一切しない、と。ですから、私自身が批判されても、じゃあうちの番組に出てください、あるいは、私が番組に向かいましょうか、対談しましょうかということを言い続けてきたのですが、日本社会はなかなか厳しくてですね、私がそういう風に言っても、都合が悪いからかもしれませんが、『上杉は出さない』『あいつの言論を止めてやる』ということで、かなり厳しい五年間を過ごしました。

 

今日、この名誉回復の会をやっていただきましたが、いざ、私自身の名誉というよりも。言論の多様性に気づいた方がたくさんいらっしゃって、こういう意味で、福島の原発、その直後のメルトダウンということも含めて、やはり、多様性のある言論空間が担保されていれば、もっとはやく対応が出来たのではないかとそして、その言論空間の多様性が失われた時に起こるのがいわゆる社会の一元化ですね。一方方向に向かう。これはどうなるかというと、戦前もそうでした。あとは独裁が出現して、その独裁の後に来るのが、戦争とか、国家が衰亡の危機に陥る、と。これを防ぐためには、右も左も関係ないんだと、繰り返すように。原発賛成も反対も関係ない。あらゆることを含めて、自由な言論空間、ひとの意見を、発言することは邪魔しない、こういうようなつもりでやってきました。

 

私自身、ジャーナリストとして、まあタイムズ辞めてからはもう十、、、六年、実は、今年申年なんですが、私申年です。おわり……(笑いが起こる)。申年です。申年、48になりました、今月。で、(若いという声が上がる)若いですか、ありがとうございます。今日は誕生パーティーにお越しいただきありがとうございます。(笑いが起きる)五月生まれが沢山いるので、あとで紹介はしないですけど(笑いが起きる)。

 

その、48歳、実はハワードフレンチやNYTで学んだことを実行に移したのが12年前の申年なんですね。その時は先ほど宮城門主からも話にあったように、イラク戦争の取材に行き、大失敗をして事故に遭って一年間パリに入院してたのが、実は申年なんです。36歳のとき。ここにはチタンも入っていますが…その時にパリの病院あるいは日本に戻って生きた時のリハビリの時にメディアの皆様方から、色んな方々から援助を受けてですね、ありがとうございます、と、今さらながら言うんですが、フリーランスというのは一年間棒に振ると収入はゼロなんです。それなら生活費だけでも、ということで寄付をいただいたのが12年前。

 

その時に、その寄付をいただいたメディアの方々へのお返しというのはどのようにさせていただいたらよいか、ということを考えて『そうだ、一人一人に返すよりも、記者クラブシステムや日本のこの優秀なジャーナリストが沢山いるのに拘束されている、記者クラブというシステムを開放させよう』と。記者クラブの開放というのは、私にとってはあんまり得じゃないですけど、メディアのひとにとって得なんですね。自由な言論ができ、自由な取材活動ができる、自由な表現活動ができる、つまり記者クラブを開放し、オープンな方が、結果としてクラブ記者の、記者の解放。解き放つほうの、emancipationのほうになるんですが、その方たちへの恩返しはこれしかない、と。十二年間それをジャーナリストとしてやってきましたが、途中からはプロデューサー、あるいはファウンダーとして、そういうことをやってきました。

 

ただ、ジャーナリストとしてやりつづけることが、かなり、結果として皆さんに迷惑をかけたということで、繰り返すように今日はお詫びの会、と(会場笑いが起きる)。それと同時に、感謝ということと。あとは、ジャーナリスト個人でやるよりも、こうやって皆さんが気づいて、新しい日本のメディア空間を創っていくお手伝いを…後援に回ろうかな、と、いうことで、ジャーナリストという肩書きは一回休職しましたが、ちょうど、今日、48歳になったこの12年間で私の役割は終わったかなぁということで、今後はまぁその、後ろの方で後継のひとたち、先ほどのオプエドやノーボーダー、あるいは他の若いジャーナリストが、私のように『取材の前段』で苦労するようなこの閉鎖的なシステムを打破するためのお手伝いをしようということで、今日この会に合わせて、ジャーナリスト引退宣言ですね(笑いが起こる)。ジャーナリストは、個人でやるのは、辞めます。その代わり、また別の形でいろんな発信をお手伝いするのと、とにかく、みなさんに、支えていただいた方に、恩返しできるということが、今度、次の十二年間に、次は還暦ですけれども、還暦なんて、昔は還暦って結構年だなあって考えてたんですけど、今日ご挨拶に立っていただいた皆さん、ほとんど80……70…(会場笑いが起きる)。と、いうことで、まだまだ現役。人生の本舞台は常に将来にあり、これを肝に銘じます。

 

つまり、尾崎咢堂の話を聞くとですね、人間というのは財産というのを、いろんな、子どもとか、子孫とかに譲ることは一生懸命だ、と。ただその財産というのは、増えもするし減りもする。そこに一生懸命なのに、なんで人間は最大の財産である経験や知識や社会的な見識というものを子孫に渡さないんだと。その、自分たちの、人間としての頂点が、死ぬ前日が、頂点なわけです。それまでは、仮舞台、練習で、最後の本舞台というのは死ぬ前なんです。そこまでに、さまざまな自分の財産を移すことが仕事なんだ、と、こういうことが、尾崎萼堂の、おそらく、言っていたことではないのだろうかと。それを考えると、48の、非常に下っ端なんですけど、先輩方にもですね、図々しくも、ここまで来ていただきながら、京都や…すいません門主(ぺこりと頭を下げ、笑いが沸き起きる)北海道からも来てもらっているという方々も、ぜひ、このような形で日本の言論空間の多様性、これを拡げるために、もう少し、お力を貸していただければと思っております。ずいぶん長くなりました。ということで、本日は本当に、ありがとうございました。」

 

 

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 なお、この祝う会には5月19日前の段階で88人もの発起人が実名でもって上杉氏の名誉の回復を認めている。

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 これほどの言論封殺をされ、上杉隆そのひとと関わっていること自体を公にできないほどの空気が五年もの長きにわたって蔓延していた中で、社会的に悪影響を被る可能性があるにもかかわらず、これほどの人物が発起人として人垣になっていることが、この事件の異様さを物語っているといえるだろう。

 

 いまもなお、上杉氏を肯定するような発言をするだけで、ネットトロールたちが不思議なほどの時間間隔で、まるでバトンタッチをするようにして代わる代わる絡んでくる状況が続いていることが報告されている。

 

 ネットトロールたちは、そもそも上杉氏のことを抹殺することを目的に動いており、対話の目的は、上杉氏にまつわる肯定的な評価を呟かなくなるまで粘着することにある。私をはじめ、現在も上杉氏に対しての言葉を発信し続けている人物というのは、このネットトロールの行動が悪意によって生じていることを理解し、異常な「私刑」を目の当たりにした上で、悪意の力によって善意の声を奪われることに抵抗し続けているひとなのだろうと思う。

 

有名なネットトロールのひとつからは「筆を折ってほしいと思っています」という、言論封殺にほかならない言葉が確認されている。その言葉の宛先となっていた方は『女の子なんでストーカーってやっぱり怖いです。異常な人に関わりたくない。でも、そういう発想に至らせるのが目的で上杉隆ネタに執着してくるんですよね、トロールは。だから気にせず上杉隆さんに関するツイートを続けることにしました。』『私、思うんですけど、上杉隆を言論封殺するために匿名アカウントを複数操作して動かしているのって十人もいないんじゃないかという気がしました。一人で50〜100個もアカウント操作してる人たちがいるもん、twitter。』などと、その感想を呟いている。なお、彼女からは個別にトロールへの恐怖心について、私自身相談を受けたこともあり(なお、プライベートにまつわるDMを公開しない形で、記事に取りあげることへの同意は得ている)、上杉氏へのネットトーロルの攻撃が、彼について呟きたいだけの一般人に対して心理的・精神的苦痛を与えていることは明らかである。彼女の呟きは現在オープンになっており、本事案の性質をよく表しているものなので、下に添付する。

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ネットトロールへの対処法については、祝う会実行委員会が作成した冊子に有用な資料が添付されていたため、そちらを添付する。

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大宅映子氏 上杉隆氏を語る

2016年5月19日、憲政記念館にて行われた「上杉隆君の名誉回復を祝う会」でのジャーナリストの大宅映子氏のスピーチを文字おこししました。

 

大宅映子「これだけ発起人が集まる会って言うのはジャーナリストとして非常に面白い。ただ、一つだけ苦言がある。このひと、いい人で、かわいげがあるんで、皆から人気がある。だからこんなに人が集まってる。時々ちょっと脇が甘い。ね?何度か言ってるからわかってる。もし喧嘩するんだったら、喧嘩の作法ってのがあるんで、こっちに理があればあるほど、低姿勢で、あんまり過激に言わない方が今後、宜しい。老婆心ながら。(握手をして降りる)」

中尾ミエ氏 上杉隆氏を語る

2016年5月19日、憲政記念館にて行われた上杉隆さんの名誉回復を祝う会にて、登壇して上杉さんにお祝いの言葉を述べられた中尾ミエさんのスピーチを文字起こしをしました。

 

中尾ミエ中尾ミエでございます。今ビデオを見ていただきましたように、まずはリアルタイムで上杉さんが状況説明をしていた時に(私は番組に)参加していた立場ですけれども。わたくし、その時は本当に、事実とはいえ怖い感じはしたんですけれども、でも考えたら五年間ですね、ずっと上杉さんを支持してきたのはMXだけです(会場、笑いが起きる)。5時に夢中!だけでなく週刊リテラシー、色んな番組を含めて、これだけぶれずにできたということは、わたくしの仕事には全然関係ないんですけれども、でもわたくしも一緒に信念を貫き通したよう気がして、嬉しいです。よく五年間も我慢しましたね。みんなが、いい友達がいたから、支えられたのよ、ふふふ。私生活はちょっと、、、あんまり、、、あの、、ね、なんとかすればってとこもあるんですけど、まあ、仕事に関してはこれからも私達にできることがあればいくらでも協力させていただきたいと思っています。よかったよかった、名誉回復ができて。おめでとうございます。」

元NHKヨーロッパ総局長大貫康雄氏 上杉隆氏を語る

2016年5月19日に憲政記念館で行われた「上杉隆君の名誉回復を祝う会」にて、元NHKヨーロッパ総局長で現自由報道協会代表理事の大貫康雄氏が、ジャーナリスト上杉隆氏について国際基準の視点からスピーチされていたので、文字起こしをしてみました。補足は()、聞き取れなかったところは《》で表記しています。

 

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大貫康雄氏「自由報道協会の大貫です。

 

(中略)

 

アメリカ時代、ヨーロッパ時代にですね、日本の常識は世界の非常識だということを言われてきました。なぜか。《しばらく聞き取れず》

 

日本のメディアは弱い人を叩いて強い人が勝つんです。メディアの役割を完全に放棄しているんです。

 

ジャーナリストというのは、やはりあの、他の人たち、色んなしがらみがあるでしょう。言えないこともあるでしょう。代わって、自分がこれはと納得したものを言う、それがジャーナリストの役目だと思うんです、メディアも。それを失ったら、日本社会において、メディアの役割はない、と、そのくらいのことです、正直に言うと。

 

上杉さんはメルトダウンをいち早く言い出した、これ、素直に言えばですね、スクープです。日本国内大スクープです。

先ほど菅元総理が言ってましたけどね、ヨーロッパのメディアは直後にメルトダウンと言いだしたんです。少なくとも彼は、ヨーロッパのメディアのようにきちんと情報収集をして、東電に行きました。そういうところは完全に掻き消されている。

 

そういう(報道姿勢は)ヨーロッパでは当たり前なんです。それは、色んな仕組みがあって、東電に聞かなくても、メルトダウンとわかります。メルトダウンをしたらどういう放射性物質がどのくらい出るか、それはたとえば、CTBTっていうあの核実験禁止条約がありましたね。 その中でウィーンの《聞き取れず》という機関があって、世界60カ国以上で放射能を検出を常時行うんです。アメリカ軍も北朝鮮の核の汚染をチェックしている。情報は筒抜けです。当たり前に、取材は、いくらでもできます。そういうところを(取材)しないで日本では逆に当たり前のことを言った人が、デマだと言われるわけです。スクープです。スクープをした記者が、こういう目に遭うという、こんな世界、ありますか。

 

で、その中で、自由報道協会は大変、間接的な余波を受けまして、《しばらく聞き取れず》そんな中でもめげずに頑張ってきた。上杉さんは個人的にも本当に相当のお金を出しております。それを元に《聞き取れず》やっております。その中を耐えてくるひとは、非常に私は、日本ではまあ、絶滅危惧種ということで。日本にはいないかと思っていましたが、ここにいますので、貴重な存在であると思っております。これからもよろしくお願いします。」

菅直人元首相、上杉隆君の名誉回復を祝う会で語る

2016年5月19日に憲政記念館にて行われた、上杉隆君の名誉回復を祝う会にて登壇しスピーチをした菅直人元首相の発言内容を文字起こししました。音が不明瞭な点は《聴き取れず》と表記し、補足は()内に示すこととする。
 
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山口一臣「せっかく今この映像を見た直後ですので、突然のご指名ですが、当時の内閣総理大臣菅直人様がこちらにいらっしゃいます。私の視野に入ってしまいましたね。どうでした、上杉隆さんのデマ。当時大変でしたからね。歴史的な和解ですね、今。」
 
川島ノリコ「和解していなかったんですか?」
 
菅直人元首相「つい先日、イタリア料理屋でですね、上杉さんと一緒になって。
まさに当時の話をいたしました。まず一つだけ事実を申し上げますと、今、あの、上杉さんが、東電が本来なら発生から3日後にメルトダウンということを発表すべきであったのにそれをしてなかったということで、或る意味での(東電からの)謝罪が今年あったわけですが。
 
更に、実はですね、3日後ではなくて、3月11日の午後5時15分東電の福島第一の免震塔の中では、あと一時間で、1号機が水位が下がって燃料棒の頭まで下がって…つまり、それ以上下がればメルトダウンが始まるわけです。5時15分に、あと一時間後にはいよいよメルトダウンが始まりますということを、実は言っているんですね。これは、関係者の方、もし良かったら(調べてください)、政府事故調の中間報告の中にその部分が実は入っています。ただ、入り方が非常に…他の中に紛れているので、あまりはっきりしていません。
 
そこで私は先日の原子力委員会で、東電の社長にそのことを確認しました。そしてその上で当時そのことを東電の中で言っているにも関わらず、なぜ政府に伝えなかったんですかと、そういう質問をしたら、『まぁいろいろと混乱していたからでしょう』と言ってました。
 
今(当時配信されたTV動画の中で)上杉さんが政府が政府がと言われていたのは、まぁまさに、私がその時の政府そのものなんですが、あんまりあれこれ言い訳をするつもりはありません。ただ、一つだけ、はっきりと申し上げたいのは、結局、事実か事実でないか、なんですね。政治家の判断というよりも、メルトダウンが起きたか起きないか、あるいは、水がなくなってるかあるかっていう問題なんです。
 
それがわかるのは誰かといったら、それは、東電の現場なんです。それ以外のひとはわかりようがない。ですから東電の現場から正しい情報が伝わってきているか伝わって来ていないか。ですから多分、上杉さんは色んな状況判断から、もうメルトダウンは起きてるんじゃないかと判断されたのは、私は、ジャーナリストとして正しかった、と。
 
ただ、東電としてその時の政府にどの段階で伝えたのかと。伝えなかったんです、ずーっと。ですから、もちろん政府に責任がなかったとは全く申し上げません。
色んな言い方で、皆さんにご迷惑をかけたし、今考えれば、スピーディーなんかでですね、もっと活用して、逃げることを考えれば良かったけども、その活用も、実はきちんとした形での方針がなかったものですから、出来なかったのです。色々失敗はあります。
 
しかし、そういった事を含めてですね、どうも色んな議論のときに、事実と……なんと言いましょう、判断、と、ちょっと違うんです。今、ものすごく事実がわかってきている。ですから、1号機については今お伝えしたように、現実にメルトダウンが始まったのは3日後ではありません。当日の午後6時過ぎです。当日ですよ、3月11日。私が翌朝、《聴き取れず》に行きました。東電からは夜の10時まで水はまだあると言われていたわけです。たっぷりと。それを前提に(現場へ)いったんですが、私が行った時点ではもうメルトダウンが相当進んで、その日の午後には圧力容器の底が抜けメルトスルーしていたそうです。ですから私はまさかメルトスルーまでしているとは思わなかったけれども、しかし、落ちた…山のような、溶けた燃料が、再臨界を起こす危険性があるんじゃないですか、ということを、班目
さんに聞いたんですね。そうしたら、班目さんは『可能性はゼロではありません』という答えだったわけです。まぁそのことをめぐって、私もそろそろ名誉回復をしなくてはいけないことが沢山あるんですが、それは今日の取材ではありませんので。
 
上杉さんにはこれからもですね、私を含め、どの政治家のことも、おかしなことはおかしい、と、言っていただけるよう、頑張っていただきたいと申し上げて、お祝いの言葉とさせていただきます。どうも今日はおめでとうございます。」